make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

NIPPSとCQが語る、ブッダブランドのデビュー前夜

確か、1995年か1996年だったと思う。当時、新宿アルタにあったレコード屋CISCOで購入したブッダブランドの『黒船』は衝撃的だった。特に「FUNKY METHODIST」の日本語・英語を入り混じった、しかもメロウなフロウに今までの日本語ラップにはない"ホンモノ感"が満ち満ちていた。(その後すぐ『人間発電所』を購入)

 

黒船

黒船

 

 

人間発電所 (CCCD)

人間発電所 (CCCD)

 

 

そんなブッダブランドのデビュー前夜が、NIPPSCQから語られるムービーがYouTubeで配信されていて、感慨深い。聞き手は、渡辺志保。 

 

そして、そんなブッダブランドのニューアルバム(!)が世に出た。噂によると、サブスク解禁はされず、デジタル配信も無いとか。聴くならフィジカルを買うしかないという、漢気溢れる新譜。

これがブッダブランド!

これがブッダブランド!

 

 

狂気の山脈にて

日々、寒くなってきて、すぐに冬が来てしまう。そんな今時期に思い出すのが、田辺剛が漫画化したラブクラフト「狂気の山脈にて」。極寒の南極を舞台にした、超古代文明モノで、全4巻。緻密な描写で、ラブクラフトが創り上げた狂気的な世界観を視覚化している。

 

2019年のピチカート・ファイヴ

僕は、1990年前半〜半ばの、所謂「渋谷系」ブームの直撃世代である。HMV渋谷店を発信源とし、音楽以外のカルチャーを巻き込みながら若者たちに巨大な影響をもたらした「渋谷系」の中心はフリッパーズギター小山田圭吾小沢健二)ではなく、ピチカート・ファイヴ小西康陽とCTTPの信藤三雄だと、個人的には思っている。そして、それを大衆に翻訳しながら(さらに「渋谷系」現象を面白がりながら)拡散していった川勝正幸の功績も非常に大きいと思う。

……と書くと、止まらなくなるのでここら辺にしておきたいが、2019年11月にピチカート・ファイヴのベストが出た。しかもサブスク解禁。これは嬉しい。しかも今回のアートワークも信藤三雄との話。

そしてこの前、ピチカート・ファイヴを特集したミュージックマガジンに書いてあったのだけど、2018年くらいに「再結成しようと思った」と小西康陽がインタビューで話していて、えっ!となった。結局、その話は流れたらしいけど……。

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クニモンド瀧口「2019 City Music Tokyo FW」

2000年代以降のシティポップの潮流は、流線形から始まった。といっても過言ではないほど、流線形というユニットは現在のポップシーンで重要な立ち位置にあると思う(しかも再始動するとかしないとか)。僕は、2000年代半ばくらいに流線形Tシャツを購入して、そのTシャツは夏になると度々着用する。誰にも気付かれないけど。

で、その流線形の中心人物はクニモンド瀧口氏。選曲家やDJ、文筆家(現在は男性ファッション誌「UOMO」でコラムを連載)としても活躍されている瀧口氏がApple Musicでプレイリストを公開した。

佐藤博からスタートし、iri、さとうもか、GUIRO松本伊代中原めいこ、キャロル&チューズデイのOST一十三十一……など新旧折りませながら、最後は坂本龍一&カクトウギセッションで締めるというプレイリストで、最高に耳触りが良い。

その中でも白眉は、ジャパニーズソウルのど定番「頰に夜の灯」(吉田美奈子)に続く、「STARS」(中島美嘉)だと思う。冨田ラボによる煌びやかでゴージャスな編曲が最高。

しばらくはこのプレイリストをずっとリピートで聴いていたいと思う。 

Madison McFerrin

僕は主にApple Musicを使って音楽を聴いている。Apple Musicでは、毎週日曜日に「For You」ページから、僕の好きそうなテイストに合わせた「Chill Mix」が作成されるんだけど、それを聴くのが毎週末の楽しみになっている。さらに、そこから全く新しいアーティストを知ることも多分にある。

で、今日はそんなアーティストの一人、Madison McFerrinの楽曲を貼ってみた。僕の好きなメロウなソウル/R&Bテイストで、まだシングルしか配信されていないようなんだけど、ハズレがない。そして、これまた素晴らしい楽曲を生み出しているキーボーディストのTaylor McFerrinの妹らしい。つまり、ジャズシンガーであるRobert McFerrinの娘でもあるということだ。

 

台湾のG.RINA

YouTubeSpotifyApple Musicなど、デジタルなリスニングスタイルが一般化することで、まさに「音楽に国境がない」状態が加速している。

ここ最近は、日本の80年代シティポップが海外で発掘され、そのフォロワーが出てきているけど、その代表的な曲といえば山下達郎の手によって生み出された竹内まりや「Plastic Love」に相違ないだろう。

そんな「Plastic Love」のカバーは雨後の筍のように出てきているが、ここで紹介したのが台湾のシンガーである9m88のカバー。

スタジオセットやファッションなども80年代に寄せている手に入れようで、さらに柔らかな歌声が魅力。ちなみに9m88は「ジョウエムバーバー」と読むらしい。

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そんな9m88の他の曲も非常に魅力的で、90年代のR&BテイストやまるでG.RINAのような雰囲気のファンクチューンもあって、とても面白い。アルバムも通して聴くと非常にウェルメイドだし、今後も台湾だけでなく他の国々でも注目されていくシンガーになっていくと思う。

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↓これはG.RINAさん。

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ビル・エヴァンス「From Left to Right」

2019年の秋というのは、台風が猛威がふるい、首都圏でも甚大な被害が出た。全てをなぎ倒しそうな風と、バチバチと強い音を立てて降る重い雨。自然の前で人間はこんなにも無力なのか、ということを改めて知ることになった。

 

そして、今日も雨が降っている。そんな鈍い雨雲が立ち込める秋に聴いているのが、ビル・エヴァンスの「From Left to Right」。クールなテンションで佇む楽曲たちが、この季節や天気にとてもマッチしている。

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