make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

今年の漫画傑作。




「この作品に共感できる人を、僕は圧倒的に支持する」。そう言いたい漫画をこの連休中に読んだ。それが、アックス誌上で連載されていた福満しげゆき僕の小規模な失敗』(青林工藝舎)。

僕の小規模な失敗

僕の小規模な失敗

まず、帯のコピー、
「恋愛ゲームに参加できず、
学歴コースからからも脱落し、
現状打破をねらった漫画コンクールでは
相手されない、
そんな主人公の
将来は一体どうなる?
これぞアックス版
まんが道

に、鈍器でこめかりをゴリゴリやられたような衝撃を受けた。

周囲からの劣等感と、何もできない自分。何かしたいんだけど、何をしたいのかわからないし、やったとしても、出来はそこそこで、ヒーローになれるわけでもない。現状が常にやや不幸。そんな日常が続く生活というのは、気が狂いそうなものである。
15、16歳の頃、芽生えてくる自我というか自意識というのものは非常にやっかいなものであって、一種の病気である。その病気が気狂いを引き起こす。
いわゆる「体育会系」でスポーツやっていて、女子とキャッキャキャッキャ言って話している男子を羨望のまなざしで見ていた高校時代を過ごしてきた僕にとって、劣等感の塊であるこの漫画の主人公は、僕そのものであった。


そういえば先日、フジテレビ「白線流し〜最終章〜」を見た。この物語の主人公達と僕はほぼ同年代である。彼らも、別にヒーローでもなく、日常を生きていくのに精一杯なのである。物質的には飽和状態で豊かに見える、現代だけど、生きていくのはたいへんだよ。