make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

大学と言う"ムラ社会"



日本社会を評して"ムラ社会"と言ったりする。要は、排他的。仲間以外を受け入れないと言う文化。裏を返せば、「不安感」というマイナス要因を払拭させる手立てかもしれないが、村八分など慣用のない暗黙のルールなども生んだしまった・・・。
現代にもあらゆる社会・地域で"ムラ社会"的意識は継続している。
日本人が初めて接する"ムラ社会"は学校だろう。今はどうなっているか分からないが、僕が小学生のときは、とりあえずクラスの中にいくつかの「班」を作った。これが(家族と言う単位以外で)最初に体験する"社会組織"だ。ここで、それぞれに役割を分け与えられ、それに沿った行動をしなければならない。これをできないヤツは早くも"村八分"という制裁を加えられることになる。
この仕打ちを受けたくない・・・。だから日本社会は、日本人は、ルールからはみ出すことを極端に恐れる。
しかし一方で、このルールの中に入って、"ムラ社会"にドップリ浸かればこれほど居心地の良いところはない。ムラの壁が自然と自分たちを守ってくれる。
そんな壁が如実に出てくる組織の一つに、「大学」というものがある。今や大学全入時代と言われ、そのレベルを問わなければ、受験生全員にその門戸が開かれている。
ここで一冊の本を紹介したい。

学食巡礼―未来を担う若者が集うユルい空間 (SPA! books)

学食巡礼―未来を担う若者が集うユルい空間 (SPA! books)

ケミストリーのプロデュースが有名だが、ソウル・R&Bなどを中心とした造詣の深さと編集者・文筆家という側面を併せ持つ才人、松尾潔氏の快著だ。
そのタイトル通り、大学を中心として、国公立、私立、医大、薬科大・・・さまざまなキャンパスに足を運び、その学食で食べ歩く。そこで触れた、"ムラ"の臭い=大学文化を、時代の風俗にあわせ綴っている。その視点がたいへん興味深いのである。学食の味はもちろんのこと、そこで起きるゆる〜い青春ドラマを、良い意味で冗漫なタッチで記している。
大学と言う"ムラ"に、松尾さんという"部外者"="旅人"が侵入。部外者ならでは「第三者視点」で客観的に描くその描写。面白いので是非ご一読でも。