唄う骨
男は女が殺したいほどに羨ましいのだ
恋愛で死ねるほどの感受性の豊かさ
男の妨害に屈することなく社会進出する 強さ したたかさ
人を狂わすほどの 冷たさ 美しさ
・・・決定的なのは子供が産めることだ
結局会社もモノをつくるところだが
本当に何かを産み出せるのは女性だけどと思う
・・・男には仕事しかないのに
それまで女性にとられたら いったい何が残るというのか
上記は戸田誠二"ストーリー"(短編集「ストーリー」より)の中から抜粋した、主人公のモノローグだ。戸田誠二氏の作品の多くは、女性の「強さ」「したたかさ」そしてその裏側にある「哀しみ」「欲望」を描いている。
男は女に、本能的に嫉妬している。最近、そんなことをふと思ったりする。彼女達の持つ芸術的なまでの身体の曲線。その美しさ。魅力。そして、女性から生まれてきたという事実。母という存在・・・。女性だけが持ち得ている特権は、男性を魅了して止まない。
男は女の手のうちで遊んでいるだけの存在なのかもしれない。
戸田誠二氏の新作短編集、『唄う骨』は全編女性が主人公だ。女性の持つ美しくも汚い本能を、グリム童話を下敷きに描写している。必読の一冊だ。
- 作者: 戸田誠二
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2005/07/29
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
ちなみに日本人の平均寿命の最新データによれば、女性が85.59歳、男性が78.64歳。女性の方が約7年も長生きするという統計がでていることも付記しておく。