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音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

モリのアサガオ



何事も自分の思い通りにはならない。予測できない事が起こる。だから人は失敗をする。
失敗の多くはその人にとっての枷になる。大なり小なり枷を引きずりながら人は道を歩む。舗装されている道だろうが、棘の道だろうが。
モリのアサガオ」(郷田ミモラ/第一巻/双葉社/アクション)というマンガを今読んでおり、そんな枷と道の関係を想起した。
新米刑務官の話。主人公の刑務官は死刑囚を担当することとなり、極刑を処された囚人と、その囚人のまつわる枷、そしてその先にある逃れられない「死」という"道"の行き止まりについて、考えざるを得なくなる。
そして犯罪を犯したものと被害者の関係、死刑制度という問題についても。
裁判によって死刑と処された罪人。罪人といえど人間。その人間を、また人間である刑務官が処刑する、という矛盾。
作者は大量の資料を読み込み、死刑囚の生活をディテール細かく描写している。死刑囚目線の花輪和一刑務所の中」のようでもある。
兎に角、キャラクターの配置の仕方、感情の持たせ方が上手く、濃くて、考えさせられる一冊だと思うので、読んでみてほしい。