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音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

白地



深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

高校1年。今から10年以上前の話。平均的な公立高校に入学した僕は、部活と言うものに所属しなかった。というのも、運動はイマイチであったし、これといってのめりこむものもなかったから。中学生の時には、サッカーをやってはいたけれど、イマイチと言うか、「ド」が付くほど運動がからっきしダメだったので、スポーツはやりたくなかった。それで、晴れて帰宅部となった。しかしながら、平均的な僕の通っていた高校は、体育系の部活に所属することが「人」としてのステータスであった。運動部に所属していない民は、完全に「蚊帳の外」で、「おはなしにならない」という感じさえあった。
そんなもんだから、僕の15〜16歳時代は、「ド」が付くほどの暇人であった。なにをするでもなく、ただただテレビを見続けていたし、一流のDTらしく妄想に耽っていた。そして学校帰りに本屋にいくことが、「ティラミス」のように、人生の「甘味」となった。
そんな中で、熱病にうなされるように一気に読破したのが、香港〜倫敦横断記である沢木耕太郎深夜特急』。この本を手にしたのは、なんだろう、表紙のロシアアヴァンギャルドを想起させるデザインからか。なにをすればいいのかもわからずただただ学校を行き/帰りする半径5kmの僕のライフに、「世界」が突如として表出した。まさに、「手に汗を握る」かの如くページをめくったのを思い出す。
かといって、感化されて「旅にでる」というアクションをとるほどにアクティブでない僕は、予備校に通ったり、タワレコHMVで音楽を試聴したり本屋で立ち読みをしながらなんとなく、青春の白地を塗りつぶしていった。


さてさて。
そんな沢木耕太郎の著作をそれこそ10年ぶりくらいに購入してみた。

チェーン・スモーキング (新潮文庫)

チェーン・スモーキング (新潮文庫)

まだ全部は読みきっていないが、小粋な随筆集。こんな感じに生きたら絶対モテる。そう思った。この本の中に出てくるような小粋なトークを、たら〜っと淑女にして、且つカクテルなんかを傾ければ、アーバンでセクシーなナイトになることは確実だなー。
かといって、感化されて「小粋なトーク」をしれっとできるほど人生経験とスキルがない僕は、iPodで音楽を聴いたり、ネット上をサーフィンしたりしながらなんとなく、これから人生の白地を塗りつぶしていくのかもしれない。