make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

淡々と過ぎ行く季節と人



アンダーカレント  アフタヌーンKCDX

アンダーカレント アフタヌーンKCDX

今年その存在を知って、感銘を受けた漫画作家は、戸田誠二氏、福満しげゆき氏、そして最後が豊田徹也氏である。アフタヌーン連載時から知っていたわけではなく、帯の谷口ジロー氏のコメントにより、興味を惹かれて買った一作。
夫が失踪した銭湯の女主人の話。派手さはなく、淡々と過ぎ行く毎日を清潔感のある画風で綴ってると思いきや、夫を探す探偵が出てきた中盤辺りから、人物たちが非常に魅力的に動き出し、かつ物語のテンポをじっくりとその速度をはやめる。60分くらいの短編映画を観たような気持ち、そして最後の女主人のある行動が、僕の胸を揺さぶった。

冷たい空気が流れる、スカッとしない日曜の夜に、似合う作品であった。