make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。



■#1〜テレビと広告 地上波テレビは無料放送じゃない


新しい不定期連載シリーズを始めてみようかな、と立ち上げた企画『テレビの見方』。
以前勤めていた会社がテレビ業界の片隅にいたので、そこで見たこと、聞いたこと、体験したことなどを書き殴ってみようかなと思います。まあ、結構適当な部分もあるので読み流してください。

今現在、テレビ(地上波放送、以下同様)が一番影響力があるメディアであることは間違いないと思う。例えば。先日のW杯サッカー予選VS北朝鮮戦。視聴率が40%を超えた。これは単純化して考えればおそろしい事。1%=100万人と俗に言われるが、40%=4000万人強が見てる計算。これに加えて、パブリックビューイングなど場末の居酒屋から職場でのチラ見まで含めると、相当数の日本国民がテレビ朝日の中継(もしくはNHK-BS)を見てるってことになる。
数千万の人間が同時に一つのコンテンツに接することを許容するメディアは他にあるか?かろうじてラジオ。それもNHK
他には雑誌だって数百万部(「ジャンプ」、「マガジン」とか)が限度、新聞だって日刊紙で読売新聞のサーキュレーション(発行部数)が確か1000万でこぼこ(?)。インターネットだって同時に数千万人がアクセスしたらサーバーがパンクするのでは。
要はインフラが整えられ、受像機がこれだけ普及しているテレビは今のところ一番影響力を持っている。故にそこに広告展開を図る企業がある(逆に言うと金を出す=広告出稿するスポンサーたる企業があるからこそテレビが成り立っている)。
これらの企業が存在しなければ、テレビはなり得ない。
だからテレビ局のコンテンツはスポンサーの意向を汲みざるを得ない、という状況がある。

さて。
今日日、テレビへの広告出稿は斜陽だと言われている。なぜならCMの効果測定が微妙だからだ。企業側は「果たして、漫然とCMを流しっぱなしで効果があるのか?」と疑心暗鬼になり始めている。
そうなると、テレビ局の営業は必死。企業が宣伝費を落としてくれなければ局に収益が生まれないからだ。だから様々な「おまけ」を付けてセールスをする。
例えばフジテレビの「企業最前線」( http://www.fujitv.co.jp/b_hp/kigyosai/ )。この番組はそんな「おまけ」の一つ。皆さんも一回はこんなテイストの純然たる企業紹介番組を見たことがあるのではないでしょうか。
通常、こんな「視聴率が取れそうもなく」「客観性のない一方通行な」番組は、放送素材として魅力的ではない。しかしながら、これはあくまでも「おまけ」。"新聞とってくれるなら野球のチケットあげる"、"ヤフーBBに入会したらモデムあげます"、と同じ手法。
他にも、番組の中でさりげなくスポンサー企業の商品を紹介してあげたり(ランキング紹介なんかほとんどが捏造と言っても過言じゃないよ!騙されんな!)、視聴者・解答者への「プレゼント」としてスポンサー商品を紹介する、といった「おまけ」がある。
最後に。
企業が宣伝費を使って、CM作ってテレビで放送する。その宣伝費の出自はどこ?それは消費者である僕らの財布である。だから、テレビはタダで見てるんじゃない。僕らが企業に財を投下しているこそ、テレビは成り立っているのである。


今日はこんな感じで。色々テーマを考えていますが、

  • テレビドラマのキャスティングについて。
  • ニュース取材は時間が勝負〜素材とケツと記者の意識
  • 局と制作会社のヒエラルキー
  • 電車男に見るメディア戦力〜テレビ局の新たな金脈探し
  • 記者会見の裏側を見る
  • なぜ情報が画一化するの?〜ニュースリリースという存在
  • 気安くディズニーとは言えない・・・ ライツの問題
  • CMが無くなる時代がやってくる?