夜明け前
「ランタンパレードの激情」Lantern Parade
例えば、俺は東京郊外の、今まで降り立ったことのない駅から一人、歩く。夕暮れ。活気のない、場末感の漂いすぎている駅前の赤提灯を横目に入りながら、薄くかすれた看板が心を錆びさせる。店内から聴こえる、昭和歌謡がやけにメロウだ。俺は、その流麗なストリングスとピアノの調べに、浮ついたメロディを口笛で奏でている。もうすぐ、陽も完全に落ちる。
と、そんな気分におちいりながら、最近、2月に出たランタンパレードのアルバムを聴き入っている。
ランタンパレードは清水民尋のソロユニット。非常に多作家でここ1〜2年でアルバム、EPと4〜5枚くらい出しているんじゃないだろうか。メロウなサンプリングから組み立てられる曲たちは、どこかのレコ評でファンキーDLにも喩えられていた。
前アルバムで、フルートの音が印象的な大貫妙子の「くすりをたくさん」をサンプリングした「甲州街道はもう夏なのさ」に代表されるように、都市特有の寂しさと憂いを積み込まれたトラックに、語りとも歌ともつかないようなメロディが乗り、独自のグルーヴを生み出す。
「醒めた熱さ」とも形容すべき歌詞もさらに磨きがかって、自作への期待も高い。
もっと注目を浴びて欲しい作家だ。
http://www.sokabekeiichi.com/rose/lantern.html
ちなみに。
- アーティスト: 大貫妙子
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- 発売日: 1995/05/21
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オリジナルは1977年発売。生まれた歳だ。