make no statement

音楽や映画、本などの感想や、日々思うことなどをゆるく。

「いま、会いにいきます」

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市川拓司著書で、純愛小説ブームの昨今で増刷を重ねる話題の一冊「いま、会いにいきます」。中村獅童竹内結子主演で映画化。内容はほとんど知りませんが、こんな感じかなーと、勝手に夢想しました。

にぶく光る街頭。重くのしかかった冬の暗闇。静寂を破るように高橋が飛び込んできてこう叫んだ。「拉致られたらしいぞ、瀬理子のヤツ!!」

『なんだって!!!』そう思うや否や、俺は全身の血が煮えたぎるのを感じた。衝動が体を突き動かす。「目呂須、待てよ!目呂須!!今行ったらあいつらの思うツボだぞ!」高橋が声を荒げて言った。しかし反射的に単車にまたがり、エンジン音を鳴り響かせている俺がいた。

「瀬理子、無事でいてくれ!」時速120kmの空気がその言葉をかき消してく。果てしなく続く無機質なコンクリートの路面が、寒さを一層厳しく感じさせる。でも行くしかない。俺のせいでセリコは奴らにさらわれたとしか思えない。自分の命をもってしても、彼女を救う。


と、いうところまで書いて、「これ走れメロスを掛け合わせるパロディじゃん」と自嘲気味に独り言を発する深夜3時。良い番組企画は全然浮かんでこない。ニコチン切れだ、とローソンに"峰”でも買いに行こうとサンダルに足を通す。が、ローソンに"峰"が置いてあるはずもなく。悲しくなって、リビングに戻り冷蔵庫を開けるもビールもなく。「最悪じゃん」と衛星放送のニュースチャンネルをダラっと見る。キャスターが淡々とした口調で語る、『次のニュースです。さいたま市で起こった女子高生拉致事件ですが・・・』。

「ここでも拉致事件か」。メガネを外して目をマッサージする。いつもの癖だ。するとガタガタと携帯電話が震えだす。「マジかよ、あ〜」。プロデューサーの名前がディスプレイに表示される。「さすがにもう逃げ切れないか・・・」。通話ボタンを押す。「はあ、はあ、ちょっとまだなんですけど・・・はあ・・・・」

『今から来れないかな?こっちもさあ会議煮詰まっちゃっててさあ、頼むよー、佐藤ちゃーん』とプロデューサー氏の声。

「えっ、今からですか?・・・・分かりました。じゃあこれからタクシー捕まえて局まで行きますんで、ええ、ええ、今からうかがいます、それでは後ほど・・・」


「行きますとも、行きますとも、『いま、会いにいきます』」。独りつぶやく。"開局50周年記念ドラマ「いま、会いにいきます」"というファイルを持ち、サンダルではなく革靴を履いて局へ向かう・・・・