映画「怒り」
シネコンのレイトショーにて、『怒り』鑑賞。21:20〜の回。前評判も高かったし、吉田修一原作×李相日監督の組み合わせは『悪人』以来だし、これは見なきゃと。
とにかく濃密で、役者陣の演技の熱量が高い作品だった。宮崎あおいはほぼノーメイクでやりきっているし、妻夫木聡と綾野剛、広瀬すずもまさに体を張っている。特に珠玉だったのが、物語上のキーマンでもある沖縄の高校生を演じた佐久本宝。高校生の男の子特有の青臭さを見事に体現していた。
また、『怒り』は、3つの異なるエピソード+ピエール瀧と三浦貴大の刑事が事件を追う、という体裁を取っていて、それが見事に進行し、収斂されていく構成も流石だった。まさに濃密な人間ドラマ。
一つ、物言いがあるとすれば、冒頭の事件シーン。犯人を抽象的に描写していたが、誰か分かってしまった。犯人捜しは本質ではない、という話もあるが、やはりミステリー要素のある作品なので、そこはもっと違うアプローチがあったのでは、と少し思った次第。